コラム
在宅勤務中のメンタルヘルスケア対策
新型コロナウィルスの流行に伴い、職場環境や職務内容の流動的な変化に、体だけではなく心も付いて行けないと感じている方が多いのではないでしょうか。
最近は特に「在宅勤務」を行っている職員の、水面下でのメンタル不調とその対応への遅れが危惧されています。
こういった状況下で、働く人のメンタルヘルス対策に再び注目が集まっていますが、職場ではどのような流れで対応すれば良いのか、自分の役割が分からないという方も多いと思います。
厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」で提唱されている「4つのケア」では、メンタルヘルス対策を効果的に進めるために必要なケアを、以下のように職務別に4つの種類に分類しています。
セルフケア(労働者個人によるもの)
「ストレスやメンタルヘルスに対する正しい理解」
「ストレスへの気付き」
「ストレスへの対処」
働く人が個々に自分自身のストレスを理解して、早期に気付き、一時的に予防対処することが必要です。事業者は、労働者がセルフケアを行えるように支援することが求められています。
また管理監督者にとってもセルフケアは重要であり、事業者はセルフケアの対象として管理監督者も含める必要があります。まずはストレスに対する正しい知識を得て、メンタルヘルスに対する関心を深めましょう。
ラインによるケア(管理監督者によるもの)
「職場環境等の把握と改善 」
「労働者からの相談対応」
「職場復帰における支援」など
管理監督者が行う、職場による支援の段階です。実際に職場単位で、管理監督者が日常的に行うメンタルヘルス対策が含まれており、具体的には職場の労働環境や職員の勤務状況の把握を行うことなどが該当します。
事業場内産業保健スタッフ等によるケア(産業医、保健師、衛生管理者などによるもの)
「具体的なメンタルヘルスケアの実施に関する企画立案」
「個人の健康情報の取扱い」
「事業場外資源とのネットワークの形成やその窓口」
「職場復帰における支援」など
産業医、保健師、衛生管理者などが、「セルフケア」や「ラインによるケア」が効果的に行えるように支援する段階です。ここでは働く人の現場と、産業医や衛生管理者などの産業衛生スタッフとの連携が重要であり、具体的には職場巡視情報の現場管理監督者との共有、衛生委員会におけるメンタルヘルス対策に関する社内研修の実施などがあります。
また「心の健康づくり計画」やストレスチェック制度の実施方法等に関する規程を策定する際にも、産業医からの意見聴取が重要になります。産業医は専門的立場から対策の実施状況の把握、助言・指導などを行い、長時間労働者に対する面接指導等の実施やメンタルヘルスに関する個人の健康情報の保護についても、中心的役割を果たすことが求められています。
事業場外資源によるケア(事業所外の専門機関や専門家などによるもの)
「情報提供や助言を受けるなど、サービスの活用 」
「ネットワークの形成」
「職場復帰における支援」など
事業所外の専門機関や専門家を活用し、その支援を受ける段階です。メンタルヘルス対策に関して専門的な相談が可能な医療機関や、地域の産業保健活動支援を行う産業保健総合支援センターなどを利用した活動が含まれます。
まとめ
在宅勤務では「職場とのコミュニケーション不足」が多い悩みとして挙げられており、非対面式の交流が主な現状では、普段よりも積極的に職員と職場がコミュニケーションを取る機会を作らなければ、心と体の不調を見落としてしまいやすい状況であると言えます。
まず必要なのは、個人では自身のストレスに目を向けてみること、管理監督者では積極的に職員の変化や不調を感じ取ることです。
また衛生管理者や事業主の方は、産業医や保健師などの産業保健スタッフへ、スムーズに相談できる環境作りも普段から心掛けて下さい。